親の介護をめぐって、家族間でトラブルを抱えているご家庭も多いのではないでしょうか。
少子高齢化が加速している現在、高齢者の介護問題は深刻化し、今では社会問題にまで発展しています。
一言で「高齢者の介護」といっても、介護される側の問題ばかりではありません。
介護を担う家族や、介護サービスを提供している企業・業種など、さまざまな課題点が山積みとなっているのが現状です。
「どうして介護問題が改善されないのだろう?」「自分も高齢になってきたので、親の介護ができるのか心配」など、疑問点や不安が尽きませんよね。
そこで本記事では、高齢者の介護問題の背景や課題・解決策などについて詳しく解説していきます!
高齢者における介護問題の現状や背景
1950年、日本における高齢者(65歳以上)の割合は、全人口の4.9%に留まっていました。
しかし、そこから徐々に少子高齢化が進み1985年には10%、2005年には一気に20%を超えてしまいます。
そして、2024年現在、65歳以上の高齢者が占める割合は30%を超え「国民の3人に1人が高齢者」という状態に陥っているのです。
今後も高齢者の割合は、増加の一途をたどり、2040年には35%を超えると予測されています。
その一方で「出生率」は、年々減少しているのが現状です。
2022年の出生率は、調査開始以来、過去最少記録を更新し「770,747人」となりました。
高齢化社会が加速している大きな要因のひとつには、医療の進歩や生活環境の改善によって、平均寿命が伸び続けていることが挙げられます。
2023年度の統計によると、男性の平均寿命は「81.05歳」女性は「87.09歳」です。
世界の国々と比較しても、トップレベルの「長寿国」であることがわかりますね。
2つ目の要因には「深刻な少子化問題」が挙げられます。
1970年代の「第2次ベビーブーム(1971年~1974年)」の際には、毎年200万人を超える出生率を誇っていました。
そこから減少し続け、2022年には過去最少記録を更新することになったのです。
少子化が加速する原因として「晩婚化」「未婚化」の増加や、経済的理由などがあるでしょう。
高齢者介護における7つの問題点
現在、日本社会において、高齢者介護の問題が大きく取り上げられています。
具体的には、どのような問題があるのでしょうか。
- 介護難民の問題
- 家族介護の限界
- 8050問題
- 老老介護や認認介護
- 高齢者への虐待問題
- 介護業界の人手不足問題
- 一人暮らしの高齢者増加の問題
順番に確認していきましょう。
介護難民の問題
高齢者介護の問題点1つ目は「介護難民の問題」です。
そもそも介護難民とは、介護が必要な状況であるにもかかわらず、適切なサービスを受けることができない高齢者を指しています。
「施設に入所したくても、金銭的に難しい」「家族のサポートも受けられない」という高齢者の数は、現在25万人を越えており、今後も増え続ける見込みです。
また、対応できる職員がいないことで介護施設に入所できないという高齢者も多く「介護者不足」も浮き彫りとなっています。
家族介護の限界
高齢者介護の問題点2つ目は、家族介護の限界です。
「親を施設に入れるのは可哀想」「金銭的にも余裕がない」などの理由から、ご家族が介護しているケースも多いはず。
特に親御さんと同居しているご家庭では「自分がサポートれば、なんとかなるはず!」「家族なんだから、私が面倒を見なくては」と頑張りすぎて、自分の限界を判断できなくなる可能性も。
介護にかかりっきりになってしまい、生活にも支障をきたしてしまいます。
自由に外出できないのはもちろん、食事の補助・トイレやお風呂の介助など、心が休まる時間もありません。
介護する側が心身ともに限界を迎える前に、老人ホームなどの施設を検討するのが良いでしょう。
8050問題
高齢者介護の問題点3つ目は「8050(はちまる・ごうまる)問題」です。
これは、80代の親が50代の子どもの生活を支えていることを指しており、子供の大半は「ひきこもり」であることが多くなっています。
50代の子どもは自立することができず、80代の親に「経済的負担」「精神的負担」をかけ続けているのです。
親のわずかな年金を頼りに生活しているケースが大半を占めているので、万が一介護が必要になった場合でも、適切なサービスを受ける余裕がありません。
8050問題が深刻化しているということは「9060問題」に発展することを示唆しています。
9060問題とは、高齢化社会に拍車がかかったことによって「90代の親が、60代の子供の面倒をみる」こと。
8050問題が改善されないことや長寿化によって、問題がさらに深刻化してしまうことは避けられません。
このままでは、さらに状況が悪化し「無理心中の増加」「親の年金や生活保護費の不正受給」などが蔓延してしまう恐れも。
生活の立て直しができるよう「ひきこもり」から脱却できる無償のプログラムや支援が必要となるでしょう。
老老介護・認認介護
「老老介護」「認認介護」も、高齢者介護において深刻な問題のひとつです。
老老介護とは「高齢者(65歳以上)が高齢者(65歳以上)を介護している」状況のこと。
例えば、高齢の夫婦間での介護や高齢の子どもが、さらに高齢の親を介護しているといったケースも増加しています。
介護するも高齢のため、体力的にも不安があり、ストレスを抱えやすいのが特徴。
若い家族が身近にいなかったり、高齢者施設に入所する資金がない場合などに多く見られるでしょう。
また、認認介護とは、介護する側・される側どちらも「認知症」を発症している状態のこと。
認認介護では、双方が判断力や理解力・記憶力の低下の症状があるため、火の不始末や薬の飲み忘れ・緊急時の対応遅れなどにつながってしまいます。
高齢化社会によって「老老介護」「認認介護」ともに増加の一途をたどっているため、早めの対策が必要となるでしょう。
高齢者への虐待問題
介護施設や老人ホームだけではなく、家庭内やヘルパーからの虐待も、深刻な問題となっています。
中でも「介護施設」での虐待は、大きなニュースとして取り上げられていますよね。
施設内での様子は、ご家族でも把握するのが難しいものです。
面会時に、身体にアザがあることに気づいたご家族が、部屋にカメラを設置して発覚するケースも少なくありません。
もちろん、身体的虐待だけではありません。暴言を浴びせたり、介護を放棄する「ネグレクト」の虐待も増加し続けています。
また、認知症の高齢者から財産を奪うという「経済的虐待」も目立ってきていますので、注意しなければなりません。
介護業界の人手不足の問題
6つ目は、介護業界の人手不足の問題です。
高齢化社会に拍車がかかっているということは、介護を必要とする人の数も増加しているということになります。
しかし、少子化の影響もあり、介護業界の職員不足は非常に深刻な状況。
少子高齢化も要因のひとつですが、それだけでなく「人間関係のストレス」「身体的負担が大きいのに、給与が低すぎる」「評価制度が整っていない」などの理由も。
実際に「職員が足りていない」と感じている施設は「60%」を超えており、今後さらに増加する見込みとなっています。
一人暮らしの高齢者増加の問題
一人暮らしの高齢者の割合は、1980年と比較すると、男性で約3.5倍増加の「15%」女性で約2倍増加の「22.1%」です。
65歳以上の女性の、およそ4人に1人が一人暮らしであることがわかりますね。
これは、核家族が増えていることも要因となっています。
高齢者の一人暮らしで起こり得るリスクには、孤独死や緊急時の対応の遅れ・認知症の発症に気づきにくい点などさまざまです。
今後も一人暮らしの高齢者は、ますます増えていきます。早めの対策で、安心して生活できる環境を整えたいですね。
高齢者介護の解決策とは?
親御さんやご家族の介護が必要となった際に、スムーズな対応ができるよう、事前に「効果的な対策」を知っておくことが重要です。
- 介護の相談先を調べておく
- 介護が必要になる前に話し合いを進める
- 健康に配慮し、積極的な社会活動に取り組む
- 介護費用の把握と貯蓄
- 見守りサービスの検討
それでは、ひとつずつ解説していきます。
介護の相談先を調べておく
介護の相談先は、早めに調べておくのがおすすめ。
親御さんやご家族に介護が必要になってから、慌てて調べ始めるのはNGです。
すぐに対応してもらえない可能性が高いだけでなく、介護に追われて、適切な相談先を見つけられない場合も多いでしょう。
大切な家族に関する相談ですので、信頼感があり、安心できる相談先を調べておく必要があります。
- 市区町村の福祉課
- 地域包括支援センター
- 社会福祉協議会
上記の場所で、介護の相談を受け付けています。1つに絞らず、いくつか候補を見つけておくのが良いでしょう。
介護が必要になる前に話し合いを進める
親御さんやご家族が元気なうちに、本人の希望や意思を確認しておくこともポイントです。
特に離れて暮らしている場合には、かかりつけのお医者さんや服用している薬などを、把握しきれていない可能性も!
いざという時でも対応できるよう、忘れずに聞いておくようにしましょう。
また、どのような介護を望んでいるのかはもちろん、葬儀についてやお墓についても話し合っておくことがベスト。
聞きにくい話を先延ばしにしたり、避けてしまいがちですが、認知症を発症してからでは手遅れになってしまいます。
老後の貯えや相続の有無・生命保険などについても事前に話し合っておくことで、万が一の時にも迅速な対応ができますし、お互いに安心感も生まれるはず。
高齢者介護の対策は「早めの準備」が大切です。
健康に配慮し、積極的な社会活動に取り組む
普段からご自身ができる対策として「健康面に気をつけること」が挙げられます。
年齢を重ねるごとに「今まで簡単にできていたことができなくなる」「身体が思うように動かない」などの症状を訴える高齢者も多いですよね。
これを「フレイル」といいます。フレイルとは、決して病気ではなく、加齢によって筋力が弱まったり活力の低下がみられる状態。「要介護」の1歩手前の状態を指しています。
このフレイルは、主に「人との会話が減ること」「地域や社会との関りがなくなること」などによって引き起こされるため、普段の生活を見直せば予防することも可能!
まずは、日々の食生活を見直しましょう。
健康的な食事を心がけるのはもちろん、筋力低下を防ぐために、カルシウムやビタミンDなども積極的に摂り入れたい栄養素です。
また、適度な運動(室内での体操や軽いウォーキングなど)も重要なポイント。
そして「人との関わり合い」が何よりも大切です。地域活動に積極的に参加したり、趣味を通して仲間と会話するなど、外出する機会をどんどん増やしていきましょう。
介護費用の把握と貯蓄
4つ目の対策は、介護に必要な費用を事前に把握し、貯蓄を行っておくことです。
上記で紹介した通り「話し合い」をしておくことで、どのような介護を望んでいるのかがわかるので、費用の把握も比較的容易になります。
例えば、施設や介護付き老人ホームへの入所を希望している場合には、それぞれの金額を調べることが可能です。
また、自宅で過ごすことを望んでいる際には、リフォーム代(バリアフリーにしたり、浴槽を低くするなど)などを計算することができます。
介護に必要な費用の平均は、月々「約8万円前後」が一般的です。もちろん、高級老人ホームや高級介護施設などを選択すると、さらに金額は上がってしまいます。
預貯金などで対応できそうにない場合には、早い段階で「介護保険」などに加入しておくのも良いでしょう。
見守りサービスの検討
高齢者の介護には、見守りサービスの検討がおすすめです。
親御さんと離れて暮らしている方はもちろん、同居している場合でも、安心感のある生活を実現できます。
おすすめの見守りサービスは、下記の4つです。
- MANOMA(マノマ)
- ミマモルGPS
- セコム 親の見守りプラン
- かんたん見守りプラグ
それぞれ、特徴や費用が異なりますので、ご家庭に合ったサービスを見つけてくださいね。
MANOMA(マノマ)
MANOMA(マノマ)は、SONYが提供している見守りサービスです。
離れて暮らすご家族のサポートに特化した、心強いサービスとして注目されています。
- 室内カメラで様子を確認できるだけでなく、防犯にも最適!
- リマインダー機能で、薬の飲み忘れも防げる
- 置き型タイプなので、面倒な工事不要
遠方で一人暮らしをしている親御さんにおすすめなのはもちろんですが、在宅介護で外出するときなどにも便利です。
例えば、認知症を患っている親御さんの薬の服用時間に、出かけなければならないケースもありますよね。
そんな時は、リマインダーに薬の服用時間をセットしておくだけでOK!
MANOMAが薬の服用を促してくれます。
スマホのアプリで、リアルタイムの様子を確認できるだけでなく、声かけ機能も搭載されているのが大きな魅力!リマインダーに気づいていない場合でも、カメラを通して会話ができるため、万が一の時でも安心です。
【MANOMAの月額料金と初期費用】
- 初月料金:1,650円(初期費用含む)
- 2ヶ月目以降の料金:3,278円
料金もリーズナブルで、安心のサービスが充実していますので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。
\ 充実したサポートサービスで安心利用が可! /
MANOMAミマモルGPS
高齢者の介護におすすめの見守りサービス2つ目は「ミマモルGPS」です。
介護が必要な高齢者に多くが、自宅の場所がわからなくなって迷子になったり、深夜徘徊をしてしまうという症状が見られます。
ミマモルGPSは、ご自宅を出た時点で通知が届く仕組みなのがポイント!
- 優れたGPS機能が搭載されているので、大切なご家族をわずか10秒で発見!
- 移動履歴がわかるので、追跡しやすい
- 「端末専用シューズ」もあるので、高齢者の介護に最適
ご家族が探しに行けない場合には、位置情報を確認し、警察に通報することもできるので安心です。
迅速でスムーズな対応ができるので、最悪の事態を回避することができます。
【ミマモルGPSの料金】
- 7日間レンタル:4,980円
- 10日間レンタル:6,980円
- 30日間レンタル:9,800円
- 365日間レンタル:36,800円
レンタルプランだけでなく「返却不要プラン」もありますので、参考にしてみてくださいね。
高齢者におすすめのGPSサービスは、下記の記事で詳しく解説しています。
SECOM(セコム)親の見守りプラン
高齢者の介護におすすめの見守りサービス、最後にご紹介するのは「セコム 親の見守りプラン」です。
防犯面での対策となるのはもちろん、ボタン一つで駆けつけに対応してくれたり、火災監視や安否確認にもおすすめ。
- 首から下げるタイプのペンダントを握るだけで、セコムに緊急通報!
- 室内で一定時間動きがない場合は、異常を察知し自動通報
- センサータイプなので、プライバシーにも配慮
24時間365日、健康面で気になることがあれば、ボタン一つでいつでも相談できるのも嬉しいですね。
見守る側は「在宅」「外出」がわかるようになっているため、長時間家を空けているなどの状況把握もできます。
高齢になると、いつどこで体調不良に陥るかわからないため、駆けつけサービスが利用できる環境は大きな安心材料と言えるでしょう。
【セコム親の見守りプランの初期費用と月額料金】
- 初期費用:48,400円(工事料金)
- 月額料金:5,060円
- 保証金:20,000円(契約満了時に返却)
\ 簡単資料請求・お見積もり依頼/
セコムかんたん見守りプラグ
「カメラでの見守りは監視されているようで気が進まない」「わざわざWi-Fiを設置するなんて面倒…」
親御さんの中には、このように考えている方も多いはずです。
高齢者の見守りは、本人の意向を尊重すべきものですので、どうしたら良いか悩んでいるご家庭もあるでしょう。
そんな方におすすめしたいのが、auが提供している「かんたん見守りプラグ」です。
かんたん見守りプラグは、離れて暮らすご家族の様子を「センサー」で確認できる嬉しいサービス!
コンセントを差し込むだけですので、設置も簡単です。
Wi-Fiも不要!面倒な工事も一切ありません。
【かんたん見守りプラグの料金】
- 初期費用:8,800円(本体代金)
- 月額料金:539円
また「センサーでの見守りだけでは、何かあったときに不安…」「万が一のときに、すぐには駆けつけられない」という方もいらっしゃるかもしれません。
かんたん見守りプラグは「セコム駆け付けサービス」が利用できる点も大きな魅力!もしもの場合には、安全の確保を要請できます。
月額料金などは必要ありません。事前の申し込みだけで利用できますので安心ですね。(1回あたり:税込み5,500円)
プライバシーもしっかりと守られ、見守る側の心配も軽減できる「かんたん見守りプラグ」を、ぜひ一度チェックしてみてください。
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まとめ|高齢者介護の問題は今後も加速!事前の対策で乗り切ろう
本記事では、高齢者介護の背景や現状、7つの問題点や効果的な解決策について詳しく解説してきました。
少子高齢化が深刻化している現代、今後も高齢者の介護における問題は増加し続けるだけでなく、さらに悪化することが予想されています。
家族介護には限界があり、介護する側が心身ともに疲弊してしまうケースも少なくありません。
生活に支障をきたしてしまう前に、介護施設や老人ホーム・見守りサービスなどを利用して、上手に乗り切るようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。